Web制作フリーランスが案件を取れない理由

応募しても返事が来ない。
提案文を書き直しても変わらない。
自分のスキルが足りないのだろうかと考え始める。
Web制作でフリーランスになった人が最初にぶつかるのはここだと思います。

この記事では、私が4か月半で871件応募した記録をそのまま公開します。
何件が受注につながり、何件が無反応だったのか。
数えたら、思っていたより救いのある数字と、認めるしかない数字の両方が出てきました。

ふだんはフリーランスでWeb制作をしています(運営者情報)。
クラウドソーシング3社とUpworkを並行して使っていて、応募の履歴は案件ごとのフォルダに残してあります。
以下の数字はそれを集計したものです。

目次

871件応募して、782件は返事すら来ていない

2026年3月20日から7月31日までの4か月半で、提案を出した件数は871件でした。
その内訳がこれです。

その後どうなったか件数割合
返事が来ていない78289.8%
返事が来て、断られた556.3%
返事が来て、商談が続いている172.0%
受注した172.0%

9割は返事が来ません。
断られたのではなく、既読になったかどうかも分からないまま止まっています。

案件が取れないと感じているとき、多くの人は「落とされている」と受け取っています。
でも実際に起きているのはそれ以前で、そもそも土俵に上がっていません。
871件のうち、相手が何らかの反応を返してきたのは89件、全体の1割です。

先に断っておくと、この数字は案件ごとのフォルダを見て機械的に数えたものです。
返事が来たのに私がフォルダを動かし忘れているものは無反応側に混ざりますし、逆に紹介や直接依頼で決まった仕事は提案文が残っていないので、この表には入っていません。
つまり受注17件は下限で、実際はもう少し多いはずです。

それでも「応募したもののうち大半は無反応」という結論は変わりません。

1件の募集に、中央値で61人が応募している

なぜここまで返事が来ないのか。
理由は募集ページ側に書いてあります。

クラウドソーシングの募集ページには、その案件に何人が応募しているかが表示されます。
私は応募するときに募集内容を保存していたので、そこに残っていた応募者数を数えました。
606件ぶんの数字が取れました。

応募先件数応募者数の中央値最大
クラウドワークス40659人370人
ランサーズ19170人187人
全体60661人

1件の募集に、半数以上のケースで60人以上が並んでいます
最大は370人でした。

そして、採用されるのはたいてい1人です。
61人が並んで1人が選ばれるなら、単純計算で確率は1.6%になります。

ここで最初の表に戻ります。
私の受注率は871件中17件で、2.0%でした。

ほぼ、並んだ人数から出る確率どおりの数字です。
良くも悪くもありません。
私は特別に落とされていたわけではなく、確率どおりの結果を受け取っていただけでした。

この数字を見たとき、正直なところ少し楽になりました。
返事が来ないのは自分の提案文が読むに堪えないからだと思っていたからです。
実際には、60人が並ぶ列の中で自分の番が来ていないだけでした。

ひとつ補足すると、この応募者数は私が募集ページを見た時点の数字です。
締切まで日数が残っている案件なら、そこからさらに増えます。
つまり実際の競争率は、この数字より高くなります。

どこで応募するかで、返事の来なさが変わる

同じ期間の数字を、応募先ごとに分けるとこうなりました。

応募先提案数返事が来なかった割合
ココナラ21995.0%
クラウドワークス43389.4%
ランサーズ19886.9%
Upwork2781.5%

ココナラだけ突出しています。
20件出して1件しか反応がない計算です。

これはココナラが悪いという話ではありません。
ココナラは本来、自分のサービスを出品しておいて相手から声がかかるのを待つ仕組みで、募集に応募していく使い方はどちらかというと補助的です。
実際、私も出品側からの問い合わせが少しずつ来るようになりました。
応募という手段との相性が良くない、というだけの話です。

Upworkの数字が良く見えますが、母数が27件しかないので、これは参考程度に見てください。
数字が動く余地が大きすぎます。

ここから言えるのは、応募が通らないと感じたときに「自分の提案が悪い」と決めつける前に、そもそも応募という手段が機能する場所にいるかを見たほうがいい、ということです。
Web制作のフリーランスが使える窓口は複数あって、それぞれ通り方の作法が違います。

返事さえ来れば、5件に1件は受注できている

ここが、数えてみて一番意外だった部分です。

返事が来た89件に絞ると、受注は17件でした。
19.1%です。
商談が続いている17件を足すと、38%が前に進んでいます。

871件全体で見れば受注率は2.0%で、これは正直かなり低い数字です。
でも「返事が来た後」だけを見ると、5件に1件は決まっています。
この2つはまったく別の問題で、対策も別です。

つまり、案件が取れないと悩んでいる状態のほとんどは、商談で負けているのではなく、商談まで届いていないということです。
面談で緊張して失敗した、見積もりで高いと言われた、といった悩みは、実はもっと後ろの段階の話です。
そこに時間をかける前に、返事が来る確率のほうを見たほうがいい。

私の場合、断られた55件も、多くは納期か金額が合わなかったケースでした。
理不尽な値切りに遭った記憶はほとんどありません。
「この機能を削るので、そのぶん下げてもらえますか」という形の相談で、それは納得できる話なので合意しています。

提案文を短くしたら通り始めた。ただし証明できていない

2026年の2月ごろ、提案文の書き方を変えました。

それまでは、依頼内容が「1」の分量でも、こちらから「100」を提案していました。
想定される課題、考えられる改善案、将来的な拡張まで書く。
熱意を示せば伝わると思っていたからです。

これをやめて、「1」に対して「10」くらいで返すようにしました。
書きすぎると、相手が引くことがあると分かったからです。
頼んでいないことまで提案されると、話が大きくなりそうだと身構えられる。
特に、小さく試したいと思っている相手にはそう受け取られます。

変えてから通りやすくなった実感はあります。
ただ、これを証明できません。

手元に残っている提案文は3月20日以降のものだけで、変更前の分が残っていないからです。
比較対象がありません。

さらに、3月以降のデータを受注した案件と失注した案件で分けて文字数を比べたところ、差はほとんどありませんでした。
受注した提案文の中央値が約2,400〜2,500字、失注が約2,550字です。
この程度の差は誤差の範囲で、しかも受注側は17件しかないので、そもそも比較に耐えません。

私は「短くしたから通った」と信じていますが、それは体感であって、データが支持しているわけではないというのが正確なところです。
この記事で書けるのはここまでです。

ひとつだけ確実に言えるのは、変える前の記録を残しておかなかったのが失敗だったということです。
やり方を変えるなら、変えた日と、変える前の状態を残しておく。
それだけで「効いたのかどうか」が後から分かります。

「スキルが足りないから取れない」とは言えない

私が受注できた案件を振り返ると、技術的な要求が高いものに偏っています。
Web制作の業界で10年やってきたので、そこを求めている相手とは話が早い。
リピートしてくれるのも、そういうクライアントが多いです。

ここから「だからスキルを磨けば取れる」と書きたくなります。
でも、それは書けません。

私がスキル要求の高い案件で受注しているのは、私がそこに偏って応募しているからです。
自分が勝てる場所を選んで出しているので、そこで決まるのは当たり前です。
これは「スキルがないと決まらない」の証拠にはなりません。

実際、クラウドソーシングにはスキルの高さを求めていない依頼もたくさんあります。
決まった作業を、決まった納期で、連絡が取れる相手にやってほしいという依頼です。
そこで評価されるのは技術力ではなく、返信の速さや、依頼内容をそのまま読み取る力です。
Web制作のフリーランスが全員、高度な実装力で勝負しているわけではありません。

自分の勝ち方を一般解として語るのは、この手の話で一番やってはいけないことだと思っています。
私に言えるのは「私はこの場所を選んだ」ということだけです。

数字から言えることは、ひとつだけある

871件で17件。
応募数に対する受注率は約2%でした。

この数字を素直に読むと、50件出して1件決まるという計算になります。
10件出して全部だめだったとしても、確率的には何も起きていません。
20件でも同じです。

フリーランスになったばかりの時期にきついのは、この母数が足りていない状態で「自分には向いていないのかもしれない」と判断してしまうことです。
私も3月に応募を始めた月は、記録に残っているだけで37件しか出していません。
その月の手応えだけで結論を出していたら、たぶんやめていました。

もちろん「とにかく数を出せ」という話ではありません。
合わない案件に出しても時間が消えるだけです。
ただ、手応えを判断できるだけの回数を出したのかは、一度数えてみる価値があります。

今日からできること

この4か月半でやっておけばよかったと思うことを、3つだけ書きます。

  • 応募した数を数える。感覚ではなく実数で。「最近ぜんぜん取れない」の「最近」が何件なのかを出す
  • 返事が来たかどうかを記録する。落ちた案件と、無反応だった案件を分けて数える。対策がまったく違うので、混ぜると打ち手を間違える
  • やり方を変えた日を残す。提案文でもポートフォリオでも、変えた日付と変える前の状態をどこかに書いておく。これがないと効果を確かめられない

3つとも、Web制作の腕とは関係のない作業です。
私が4か月半かけて分かったのは、案件が取れないと感じている時期にまずやるべきなのは、技術を磨くことでも提案文をさらに練ることでもなく、自分が今どこで止まっているのかを数字で見ることでした。

返事が来ないのか、返事は来るのに決まらないのか。
この2つを分けたところから、やっと打ち手が具体的になります。

数えてみて母数が足りていた、それでも決まらない、という段階まで来ているなら、応募以外の入り口も考える時期かもしれません。
エージェント経由で1社に入る働き方については常駐案件と受託案件はどちらがいいかに、そのとき気になる手数料の話はフリーランスエージェントの手数料相場に書きました。
どちらも私が1年やってみた話です。

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この記事を書いた人

宮城県東松島市でひとりでWeb制作をやっています。Web業界10年、会社員時代に50を超えるプロジェクトを担当したのち独立。実際に使った道具と、迷って決めたことを書いています。

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