手元に残っている提案文を988件、機械で数えました。
修正の回数を数字で書いていたのは21件だけです。
2.1%でした。
「修正」という言葉自体は231件(23%)に出てきます。
触れてはいるのに、何回までかは決めていない。
自分のことです。
数え方を書いておきます。
1案件につき1つ保存している提案文のテキストを対象に、同じ行に「修正」と回数が書かれているものを数えました(2026年8月18日時点)。
行をまたいで書いているものは拾えていないので、実際はもう少し多いはずです。
ふだんはフリーランスでWeb制作をしています(運営者情報)。
人に説く前に、自分がやっていませんでした。
その前提で書きます。
なぜ書かないのか
理由ははっきりしています。
制限を書くと、選ばれにくくなる気がするからです。
提案の場で「修正は2回まで」と書くのは、こちらの都合を先に出すように見えます。
隣の提案が何も書いていなければ、なおさら不利に感じます。
だから触れずに出す。
私の988件のうち97.9%がそうでした。
ただ、この判断は提案が通ったあとの自分に請求書を回しているだけです。
決めていないと、終わりが相手の手に渡る
修正回数を決めないと何が起きるか。
「いつ終わったことになるのか」を相手が決める状態になります。
私が受け取ったある契約書には、検収について「仕様に基づいて判定する」という趣旨の定めがありました。
一見まっとうです。
ただ、その仕様が文書として存在していなければ、判定の基準もありません。
結果として、相手の主観が基準になります。
同じ契約書には、チャットでのやりとりも契約の一部として扱うという条項もありました。
連絡は早くなりますが、雑談まじりの「ここもお願いします」が仕様になりうるということでもあります。
契約書のどこを見るかは業務委託契約書で最低限見る場所に書きました。
ここで言いたいのは、回数を決めていないと、この構造がそのまま効いてくるということです。
修正回数だけで切ると、線引きが不合理になる
では「修正2回まで」と書けばいいのか。
ここが難しいところです。
「文字を1か所直してほしい」も1回。
「トップの構成を作り直してほしい」も1回。
同じ1回として数えると、どちらの側から見ても不合理になります。
前者で回数を消費させられる相手は窮屈ですし、後者を1回で受ける側は割に合いません。
数えた21件のうち、実際に使っていた書き方で残っていたのはこの形でした。
※修正対応はレイアウトの変更を伴う修正は2回まで(テキスト変更、画像差し替えなどは適宜対応)
自分が実際に出した提案文より
回数ではなく、変更の種類で線を引いています。
作り直しが発生するものだけを数え、差し替えで済むものは数えない。
この書き方なら、制限を出しても窮屈には見えないと思っています。
「細かい直しは何度でも見ます」という宣言としても読めるからです。
実際に書くなら、この3つで足りる
- 数える対象を決める(レイアウトや構成の変更を伴うもの)
- 数えないものを決める(テキストの変更、画像の差し替え)
- 超えたらどうなるかを書く(別途お見積り)
3つ目が抜けると、制限を書いた意味がありません。
「2回まで」だけだと、3回目を断る話になります。
「3回目からは別途お見積り」と書いてあれば、断る話ではなく見積もりの話になります。
断るのと、値段をつけるのは違います。
前者は関係が終わりますが、後者は続きます。
修正を工程ごとに区切る書き方もある
もう一段細かくする書き方もあります。
私の提案文にはこういう形もありました。
修正対応回数:各工程2回まで+軽微な微調整は柔軟対応
自分が実際に出した提案文より
「各工程」で区切れば、デザインが確定したあとにデザインの作り直しを求められる、という展開は起きにくくなるはずです。
工程が終わるたびに合意が積み上がるからです。
ただし私はこの形で最後まで進めた案件をまだ持っていません。
提案の段階で書いているだけです。
ワイヤーフレームで1回、デザインで2回、実装後に2回。
総数は増えますが、手戻りの深さが浅くなるぶん、作業量は減るだろうと考えています。
回数の話は、値段の話とつながっている
見積もりを下げてほしいと言われたとき、金額だけを下げると、範囲はそのまま残ります。
単価だけが落ちるので、いちばん苦しい形になります。
修正回数を先に書いておくと、そこで調整できます。
「この金額なら修正は1回まで」という交換ができるからです。
範囲を動かせる状態にしておくと、値段の話が値切りではなく設計の話になります。
値下げを求められたときの答え方は見積もりの値下げを求められたときの答え方に書きました。
自分が書いた21件は、2回か3回だった
「相場は何回か」を知りたい人が多いと思います。
業界の標準がいくつなのかは、出典のある調査を見つけられませんでした。
なので書けるのは自分の数字だけです。
| 書いていた回数 | 件数 |
|---|---|
| 2回 | 15件 |
| 3回 | 6件 |
21件すべてが2回か3回でした。
1回や5回は一度も書いていません。
特に決め方を持っていたわけではなく、そのくらいが受け入れられそうだと感じて書いていたのだと思います。
こちらの不備は数に入れない、と書いていなかった
21件を読み返して、抜けている論点に気づきました。
指示どおりに作れていなかった場合の直しを、回数に数えるのかどうかが書かれていません。
1件もです。
ここが曖昧だと、制限が逆に働きます。
こちらの作り込み不足による直しまで「2回」に含まれると、相手は本来の要望を出す枠を失います。
そうなると、制限が信頼を削る方向に働きます。
次に書くときは、この一文を足すつもりです。
いただいた仕様と異なっていた場合の修正は、回数に含めません
まだ使っていない文案
これはまだ提案で使っていない文案です。
実際に出してどうだったかは、まだ書けません。
まとめ
提案文988件のうち、修正回数を数字で書いていたのは21件でした。
書いていないほうが普通です。
私もそうでした。
ただ、書かない理由が「そのほうが選ばれそうだから」なら、受注のために自分の作業時間を無制限に差し出していることになります。
書くなら、回数だけを切らないほうがいいと思っています。
数える対象を決め、数えないものを決め、超えたら見積もる。
この3つが揃っていれば、制限は窮屈な条件ではなく、進め方の説明になります。
なお、ここに書いたのは提案の書き方と、契約書で見た構造の話です。
修正が原因で揉めた経験があるわけではありません。
揉める前に決めておく話として読んでください。
