Web制作で独立する前に準備すること

独立前の準備について調べると、「生活費の半年分を貯めてから」という話がよく出てきます。

私は貯金をあまり用意しないまま独立しました
それでどうにかなっているので、この話をそのまま信じなくていいと思っています。

ただし、代わりに用意したものがあります。
そして、何を用意すべきかは家族がいるかどうかで丸ごと変わります
ここを混ぜて語られていることが多いので、自分の場合を書いておきます。

ふだんはフリーランスでWeb制作をしています(運営者情報)。
会社員として開発をしたあとに独立しました。

目次

貯金ではなく「収入の目処」を用意した

私が独立を決めたのは、貯金が貯まったからではありません。
ある程度、収入の見込みが立ったからです。

この2つは似ているようで、性質がまったく違います。

  • 貯金は減っていく。使えば無くなるので、時間制限がついた状態で走ることになる
  • 収入の目処は続く可能性がある。次に繋がれば時間制限がかからない

半年分の貯金があっても、半年後に何も無ければ状況は同じです。
むしろ「あと3か月しかない」という状態で案件を探すことになるので、条件の悪い仕事でも受けざるを得なくなります。

私が優先したのはそこでした。
貯金は薄くても、入ってくる見込みがあるほうが精神的に持ちます。

家族がいるかどうかで、必要な準備は変わる

これが一番言いたいことです。

私には家族がいます。
だから収入の目処が立つまで会社を辞めませんでした。
失敗したときに困るのが自分だけではないので、そこは慎重にならざるを得ませんでした。

逆に、もし自分が独身で実家暮らしだったら、たぶん行き当たりばったりで飛び出していたと思います。
生活費が最低限で済み、失敗しても戻れる場所があるなら、準備に時間をかける理由が薄いからです。

準備の量は、才能や覚悟の問題ではありません。
失敗したときに何が起きるかで決まります。

状況失敗したときに起きること必要な準備
独身・実家生活は続く。戻る場所がある少なくていい。早く始めたほうが早く学べる
独身・一人暮らし家賃が止まらない家賃数か月分か、続く収入のどちらか
家族がいる自分以外の生活に影響が出る収入の目処。貯金だけでは足りない

独立の記事を読むときは、書いた人がどの行にいるのかを確認したほうがいいです。
行が違えば、正しい答えも違います。
私は3行目にいます。

「辞めてから探す」が厳しい理由は、数字で出ている

収入の目処を先に作るべきだと言い切れるのは、あとから自分の応募記録を集計したからです。

私は4か月半でクラウドソーシングに871件応募しました。
受注できたのは17件、2.0%です。
1件の募集には中央値で61人が並んでいました(この集計はWeb制作フリーランスが案件を取れない理由に出しています)。

50件出して1件決まる計算です。
しかも決まってから納品して入金されるまで、さらに時間がかかります。

辞めた翌月から応募で生活費を埋める、というのは相当に厳しい。
これは根性の問題ではなく、確率と入金サイクルの問題です。

最初の1か月は、応募の量すら出せない

もうひとつ、始めてみて分かったことがあります。
応募のペースはすぐには上がりません。

応募した件数
2026年3月(20日から開始)37
4月198
5月160
6月245
7月231

本格的に動き出した最初の月でも200件弱です。
案件を探して、募集を読んで、提案文を書く。
1件ずつ手を動かす作業なので、いきなり倍にはできません。

受注率2%で月200件なら、期待値は月4件です。
これが軌道に乗るまでの現実的な速度でした。

さらに、決まってから入金までにも間があります。
制作して、確認してもらって、修正して、検収されて、そこから支払いです。
受注した月に入金されるとは限りません。
応募を始めた月と、まとまったお金が入る月は、ずれます。

つまり独立してから最初の数か月は、動き出しの助走に消えます。
その間の生活をどうするかまで含めて、独立前に決めておく必要があります。

「収入の目処」はエージェントでも作れる

収入の目処と言われても、辞める前に受託の取引先を作るのは簡単ではありません。
会社に勤めながら営業する時間も限られます。

もうひとつの作り方が、フリーランス向けのエージェントを使う方法です。
私も独立してから、エージェント経由で1年ほど1社に参画しました。

この働き方は月ごとの金額が決まっているので、収入が読めます。
案件を探し続ける必要もありません。
独立直後に一番きついのは金額の少なさより不安定さなので、そこが消えるのは大きい。

実際にやってみた感想は「会社員とほとんど変わらない」でした。
日中は参画先の業務に入り、決まった時間まで動く。
慣れた働き方をそのまま持ち込めるので、独立と同時に生活が激変するということが起きません。

ただし引き換えに、日中がまるごと埋まります。
自分の受託を育てたければ、朝か夜に押し出すことになります。
私は朝早く起きて自分の作業をして、日中は参画先、という生活をしていました。

だから「独立したのに会社員と同じでは意味がない」と感じる人には向きません。
逆に、まず生活を成立させたい時期の足場としては、かなり確実です。
詳しくは常駐案件と受託案件はどちらがいいかに書きました。
手数料がどれくらい引かれているのかという話はフリーランスエージェントの手数料相場にまとめています。

登録のときに見られるのは、ほぼ職務経歴書です。
私は3社に登録しましたが、どこも書類が先でした。
会社にいるうちに職務経歴書を書いておくのは、独立前にできる準備としてはかなり現実的だと思います。
辞めてからだと記憶が薄れます。

準備は1つに絞れる

ここまでを踏まえると、独立前にやることはかなり絞れます。

辞めた翌月に入る予定のお金を、辞める前に作っておく。
これだけです。

継続で頼まれそうな相手でも、決まっている案件でも、形は何でも構いません。
大事なのは金額の大きさより、ゼロではない状態で始められることです。
ゼロから始めると、上の数字のとおり最初の数か月が丸ごと助走になります。

逆に言うと、それ以外の準備は後からでも間に合います。
手続きまわりは独立してからでも進められますし、実績やポートフォリオは案件をやりながら増えます。
先に用意しないと取り返しがつかないのは、時間だけです。

そして最初に書いたとおり、この話が当てはまる強さは人によって違います。
守るものが少ないなら、準備より先に始めてしまったほうが結果的に早い。
私は家族がいるのでそうしませんでしたが、それは私の条件から出た判断であって、正解として配れるものではありません。

独立したあとに何が起きるかは、クラウドソーシングの単価が安いと感じたときに見た数字常駐案件と受託案件はどちらがいいかに、それぞれ実数で書きました。

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この記事を書いた人

宮城県東松島市でひとりでWeb制作をやっています。Web業界10年、会社員時代に50を超えるプロジェクトを担当したのち独立。実際に使った道具と、迷って決めたことを書いています。

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