支払日が土日や年末年始に当たったら、フリーランスの報酬はいつ振り込まれるのか

×印の付いた点線の四角が4つ並び、右端のチェックの付いた四角へ矢印が伸び、上に12/31と1/4の日付と銀行の休日の範囲、下に4日の寸法線が添えられた線図と、支払日が休日ならという見出し

「月末締め、翌月末払い」で仕事を受けていると、支払日が土曜日や日曜日に当たる月があります。
2026年は10月31日が土曜日で、12月31日は銀行が休みです。
入金は前の営業日に早まるのか、翌営業日に遅れるのか。
遅れる場合、発注者は何日まで遅らせてよいのか。
法令と、公正取引委員会などの資料で確かめました。

先に結論を書きます。

  • 前の営業日に払うか、翌営業日に払うかは、契約書や発注書の定めで決まります。フリーランス法の「考え方」が条件を付けているのは、翌営業日へずらす(順延する)場合です
  • 翌営業日へずらした結果、受領日から60日を超えてもよいのは、ずらす期間が2日以内で、あらかじめ書面か電磁的方法で合意しているときです(公正取引委員会・厚生労働省「考え方」)
  • ずらした後の日が受領日から60日以内なら、あらかじめ合意していれば、2日を超えてずらしても問題とされません
  • 2026年の12月31日(木)から2027年1月3日(日)までは銀行の休日で、翌営業日は1月4日(月)です。12月31日払いを翌営業日へずらすと4日空きます。私の計算では、月末締め翌月末払いで11月2日に納品した分は、1月4日が受領日から64日目になり、上の2つのどちらにも当てはまりません
  • この決まりが及ぶのは、発注者が「特定業務委託事業者」(従業員を使う個人や法人など)の場合です(フリーランス法 第2条第6項・第4条)
  • 入金が1月にずれても、売上を入れる年は原則として変わりません。納品した年の売上です(現金主義の特例を選んでいる人は別です)

ふだんはフリーランスでWeb制作をしています(運営者情報)。
弁護士ではないので、ここに書くのは、法令と公的な資料の原文で確かめたことだけです。
2026年10月11日時点の情報です。
自分の取引が当てはまるかの判断が必要な場面では、公正取引委員会の窓口や弁護士に確かめてください。

目次

支払日が銀行の休日に当たるのは、どの日か

銀行の休日は法令で決まっています。
銀行法 第15条第1項は「銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る。」としていて、銀行法施行令 第5条第1項が、その政令で定める日として次の3つを挙げています。

  • 国民の祝日に関する法律に規定する休日
  • 12月31日から翌年の1月3日までの日
  • 土曜日

2026年10月11日から2027年1月までで、支払日によく使われる5日・10日・15日・20日・25日・末日のうち、銀行の休日に当たる日を並べました。
この期間の祝日は、内閣府の「国民の祝日について」の日付(2026年10月12日・11月3日・11月23日、2027年1月1日・1月11日)で確かめています。

支払日前の営業日翌営業日翌営業日までの日数
2026年10月25日(日)10月23日(金)10月26日(月)1日
2026年10月31日(土)10月30日(金)11月2日(月)2日
2026年11月15日(日)11月13日(金)11月16日(月)1日
2026年12月5日(土)12月4日(金)12月7日(月)2日
2026年12月20日(日)12月18日(金)12月21日(月)1日
2026年12月31日(木)12月30日(水)2027年1月4日(月)4日
2027年1月10日(日)1月8日(金)1月12日(火)2日
2027年1月31日(日)1月29日(金)2月1日(月)1日
銀行法施行令 第5条第1項の休日と、内閣府「国民の祝日について」の日付から作成。銀行の営業所ごとの休日(同条第2項)は入れていない。日数は、支払日の翌日から翌営業日までを数えたもの

1月10日(日)の翌日の1月11日は成人の日なので、翌営業日は1月12日(火)になります。

翌営業日払いで60日を超えてよいのは、2日以内で合意があるとき

フリーランス法 第4条は、報酬の支払期日を、発注者が給付を受領した日から起算して60日の期間内で、できる限り短い期間内に定めるよう求めています。
60日の上限そのものについては、支払いサイト60日はきついのかに書きました。

支払日が銀行の休日に当たったときの扱いは、公正取引委員会と厚生労働省の「考え方」(令和8年10月1日改正)にあります。

報酬を毎月の特定日に金融機関を利用して支払うこととしている場合に、当該支払日が金融機関の休業日に当たることがある。
このような場合、支払日が土曜日又は日曜日に当たるなど支払を順延する期間が2日以内である場合であって、特定業務委託事業者と特定受託事業者との間で支払日を金融機関の翌営業日に順延することについてあらかじめ書面又は電磁的方法で合意しているときは、結果として給付を受領した日から起算して60日(本法第4条第3項の場合には、元委託支払期日から起算して30日)を超えて報酬が支払われても問題とはしない。

公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」

条件は2つです。
ずらす期間が2日以内であること。
そして、翌営業日へずらすことを、あらかじめ書面か電磁的方法で合意していること。
例として挙がっているのは、支払日が土曜日又は日曜日に当たる場合です。
数え方は書かれていませんが、土曜日なら翌営業日の月曜日まで2日なので、支払日の翌日から翌営業日までを数えるものと私は読んでいます。

ずらした後の日が60日以内に収まるなら、2日の条件は外れます。
フリーランス法のパンフレットは、こう書いています。

なお、順延後の支払期日が給付を受領した日から60日以内である場合には、あらかじめ順延することを書面または電磁的方法で合意していれば、金融機関の休業日による順延期間が2日を超えても問題とはしません。

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)パンフレット」

2つを並べると、次のようになります。
対象は、発注者が特定業務委託事業者で、支払日を翌営業日へずらす場合です。

ずらした後の支払日ずらす期間あらかじめの合意考え方の扱い
受領日から60日以内2日を超えてもよい必要問題とはしない
受領日から60日を超える2日以内必要問題とはしない
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」第2部 第2の1(5)から作成。再委託で元委託支払期日から30日以内の定めを使う場合(フリーランス法 第4条第3項)は、60日を30日に読み替える

どちらの場合も、あらかじめの合意が条件に入っています。
合意は書面か電磁的方法なので、契約書や発注書、メールなどに、支払日が金融機関の休業日のときは翌営業日に支払う、という定めがあるかどうかが分かれ目です。

前の営業日に払う定めになっている場合について、考え方は何も条件を付けていません。
支払期日より早く入るだけなので、60日の決まりとはぶつからないと考えています。

60日は、月単位の締めでは2か月として数える

60日は、受領日を1日目として数えます(考え方に「給付を受領した日を算入する。」とあります)。
月末締め翌月末払いだと、31日の月をまたぐときに60日を少し超えることがあります。
これについて、公正取引委員会のフリーランス法のQ&A(Q48)はこう答えています。

月単位の締切制度では、月によっては31日の月があるため、前月の納品締切日の翌日に給付を受領した場合には、報酬の支払が給付を受領した日から61日目又は62日目の支払となる場合があります。
このような場合、本法の運用に当たっては、給付を受領した日から60日以内との規定を、給付を受領した日から2か月以内として運用するため、本法上問題としません。

公正取引委員会 フリーランス法 Q&A Q48

2026年の年末は、12月31日払いが1月4日まで4日空く

ここからは、上の決まりを2026年の年末に当てはめた、私の計算です。

12月31日(木)は銀行の休日で、翌営業日は2027年1月4日(月)です。
支払日の翌日から翌営業日までを数える上の読み方だと、12月31日から1月4日までは4日になります。
2日以内の条件には収まりません。

すると、翌営業日払いの合意があっても、1月4日の入金が問題とされないのは、1月4日が受領日から60日以内の場合です。
例を2つ挙げます。

  • 11月2日(月)に納品し、月末締め翌月末払いで支払日が12月31日の場合:12月31日は受領日から60日目、1月4日は64日目です。ずらす期間は4日、ずらした後は60日を超えるので、考え方が「問題とはしない」としている2つの場合のどちらにも当てはまりません
  • 12月10日(木)に納品し、支払日が12月31日の場合:1月4日は受領日から26日目です。60日以内なので、翌営業日へずらすことをあらかじめ書面か電磁的方法で合意していれば、問題とはされません

数えると、1月4日が受領日から60日以内に収まるのは、11月6日以後に受領された分です(11月6日から数えて1月4日がちょうど60日目)。
11月5日以前に受領された分は60日を超えます。
Q48 の「2か月以内として運用」が、ずらした後の日を数えるときにどう当たるかは、考え方の(5)にもQ48にも書かれていません(取適法のテキストは、同じ箇所を「60 日(2か月)以内」と書いています)。
境目に近い日の納品分は、発注者か公正取引委員会の窓口に確かめてください。

11月初めに納品した分が12月31日払いになっているなら、発注者は12月30日(水)までに払うことになる、と私は読んでいます。
ただ、これは発注者の側の義務の話です。
こちらでできるのは、契約書や発注書の支払日の定めを見て、年末の入金が12月30日なのか1月4日なのかを、早めに取引先へ聞いておくことです。

10月31日(土)は事情が違います。
翌営業日の11月2日(月)まで2日なので、あらかじめの合意があれば、受領日から60日を超えても問題とはされません。
発注者が特定業務委託事業者で、合意が無いのに翌営業日に回されているなら、考え方の条件を満たしていないことになります。

支払日の決まりが及ぶ発注者と、及ばない発注者

フリーランス法 第4条の主語は「特定業務委託事業者」です。
第2条第6項によると、フリーランス(特定受託事業者)に業務委託をする事業者のうち、次のどちらかに当たるものをいいます。

  • 個人であって、従業員を使用するもの
  • 法人であって、二以上の役員があり、又は従業員を使用するもの

発注者が従業員のいない個人事業主や、役員が1人だけで従業員のいない法人なら、第4条の60日の決まりも、上の順延の条件も及びません。
この場合は、契約で決めた支払日がそのまま基準になります。
なお、支払期日を書面か電磁的方法で明示する義務(第3条)は、従業員のいない発注者にもあります。

資本金や従業員の数の条件で中小受託取引適正化法(取適法)の対象になる取引にも、同じ扱いがあります。
公正取引委員会・中小企業庁の「中小受託取引適正化法テキスト」(令和7年11月)は、順延する期間が2日以内で、あらかじめ書面等で合意している場合には、受領日から60日(2か月)を超えて支払われても問題としていない、と書いています。
同じテキストには、支払日が金融機関の休業日に当たって翌営業日に支払っていたが、あらかじめ書面等で合意していなかったため、一部の代金の支払が遅延していた、という違反行為事例も載っています。

契約書に支払日の休日の定めが無いとき

民法には、期間の終わりが休日に当たるときの定めがあります。

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

民法 第142条

この条文は「納品から30日以内」のように期間で決めた場合の、末日についての定めです。
「毎月末日払い」のように日付で決めた支払日にどう当てはまるかは、条文からは読み取れません。
定めが無いまま翌営業日に入金されることもあれば、前の営業日に入金されることもあると思います。
年末は翌営業日まで4日空くので、定めが無い取引先には、12月の早いうちに聞いておくのがよいと考えています。

これから契約する取引なら、支払日が金融機関の休業日に当たるときに、前営業日に払うのか翌営業日に払うのかを、支払日の定めに書いてもらうと、あとで迷いません。
取適法のテキストに載っている発注書面の書式例にも、支払期日が金融機関の休業日に当たる場合に翌営業日に支払うこととするときは、書面又は電磁的記録で合意する必要があるためその旨を記入する、という注があります。
この注には「ただし、順延後の支払期日が受領日から 60 日を超える場合には、順延期間は2日以内に限られる。」とも書かれています。

入金が翌年の1月にずれても、売上の年は原則変わらない

12月31日払いの報酬が1月4日に入金されると、確定申告でどちらの年の売上にするかで迷うかもしれません。
売上を入れる年は、原則として、入金日ではなく、仕事を引き渡した日で決まります(所得税基本通達 36-8)。
11月や12月に納品した分は、入金が2027年1月でも2026年分の売上です。
青色申告で現金主義の特例(所得税法 第67条)を選んでいる人は、入金した年の売上になります。
詳しくは年末に納品して、入金が翌年になった売上は、どちらの年に入れるのかに書きました。

まとめ:支払日が休日に当たるときに確かめること

  • 銀行の休日は、日曜日・土曜日・祝日法の休日・12月31日から1月3日まで(銀行法 第15条、銀行法施行令 第5条)
  • 前の営業日に払うか翌営業日に払うかは、契約書や発注書の定めを見る。定めが無ければ取引先に聞く
  • 発注者が特定業務委託事業者なら、翌営業日へずらして受領日から60日を超えてよいのは、ずらす期間が2日以内で、あらかじめ書面か電磁的方法で合意しているとき
  • ずらした後も受領日から60日以内なら、あらかじめ合意していれば2日を超えてもよい
  • 2026年12月31日(木)の翌営業日は2027年1月4日(月)で、4日空く。月末締め翌月末払いで11月初めに納品した分は、1月4日が60日を超える
  • 入金が1月になっても、2026年に納品した分は原則として2026年分の売上(現金主義の特例を選んでいる人は入金した年)

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この記事を書いた人

宮城県東松島市でひとりでWeb制作をやっています。Web業界10年、会社員時代に50を超えるプロジェクトを担当したのち独立。実際に使った道具と、迷って決めたことを書いています。

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