Web制作に使うパソコンやソフトは、いくらまでなら買った年に全額経費にできるのか。10万円・20万円・40万円の線と、サブスク代の扱い

ノートパソコンの横に10・20・40の目盛りを刻んだ縦の線を引いた線図と、経費の線という見出し

フリーランスでWeb制作をしていると、パソコンやモニター、ソフトを自分で買いそろえることになります。
20万円を超えるパソコンを買ったとき、確定申告で全額を経費にしていいのか。
「30万円までなら一括でいける」という話を聞いたことがある人もいると思います。

先に結論を書きます。

  • 10万円未満なら、使い始めた年に全額を経費にできます。青色でも白色でも、副業の雑所得でも同じです
  • 10万円以上20万円未満なら、3年で均等に経費にする方法を選べます。こちらも白色で使えます
  • 青色申告の事業所得なら、40万円未満まで全額をその年の経費にできる特例があります。2026年4月1日の改正で30万円未満から40万円未満に上がりました。2026年3月31日までに取得したものは30万円未満のままです。年の合計は300万円まで
  • それを超えると(白色・雑所得なら20万円以上は)、耐用年数に分けて経費にします。パソコンは4年、買い切りのソフトは5年です
  • 年払いのサブスクは、1年以内の分なら支払った年に全額を経費にする扱いが認められています(毎年同じやり方を続けることが条件)

ふだんはフリーランスでWeb制作をしています(運営者情報)。
ここに書くのは、所得税法施行令・租税特別措置法・耐用年数の省令、国税庁の通達とタックスアンサー、東京都主税局の説明の原文で確かめたことと、自分の案件記録を数えたことだけです。
2026年10月5日時点の情報です。

目次

10万円未満のパソコンは、使い始めた年に全額が経費

パソコンのように何年も使うものは、原則として買った年に全額を経費にはできません。
国税庁のタックスアンサー No.2100はこう説明しています。

減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。

国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」

ただし、金額が小さいものには例外があります。
所得税法施行令第138条は、取得価額が10万円未満の減価償却資産(貸付けに使うものを除く)について、「その取得価額に相当する金額を、その者のその業務の用に供した年分の」必要経費に算入する、と定めています。
基準は買った日ではなく、仕事に使い始めた年です。
12月に注文して1月に届き、そこから使い始めたなら、翌年の経費になります。

この定めには、青色申告であることなどの条件はありません。
白色申告の人も、副業で雑所得として申告している人も使えます。

20万円未満なら、3年に分けて経費にできる

10万円以上20万円未満なら、第139条の「一括償却資産」を選べます。

居住者が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産で取得価額が二十万円未満であるもの(第百二十条第一項第六号及び第百二十条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるもの並びに前条第一項の規定の適用があるものを除く。
以下この項において「対象資産」という。)については、その居住者が当該対象資産(貸付け(主要な業務として行われるものを除く。)の用に供したものを除く。)の全部又は特定の一部を一括したもの(以下この項及び次項において「一括償却資産」という。)の取得価額の合計額をその業務の用に供した年以後三年間の各年の費用の額とする方法を選択したときは

所得税法施行令 第139条第1項

使い始めた年から3年間、取得価額の3分の1ずつを経費にします。
たとえば15万円のパソコンなら、毎年5万円です。
月割りはありません。
12月に使い始めても、その年に3分の1を経費にできます。
使うには、確定申告書に一括償却対象額を書いた書類を添付し、計算の書類を保存しておく必要があります(同条第2項)。
これも白色申告や雑所得で使えます。

青色申告のフリーランスなら、少額減価償却資産の特例で40万円未満まで全額を経費にできる

青色申告の人には、もっと大きな特例があります。
租税特別措置法第28条の2の「少額減価償却資産」です。

中小事業者(第十条第八項第六号に規定する中小事業者で青色申告書を提出するもののうち、事務負担に配慮する必要があるものとして政令で定めるものをいう。
以下この項において同じ。)が、平成十八年四月一日から令和十一年三月三十一日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小事業者の不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産で、その取得価額が四十万円未満であるもの

租税特別措置法 第28条の2第1項

ポイントは4つです。

  • 青色申告をしていること。白色申告の人は使えません
  • 事業所得・不動産所得・山林所得が対象で、雑所得は入っていません。副業で雑所得として申告している人は使えません
  • 年の合計は300万円まで。開業した年・やめた年は、300万円を月割りにした額までです
  • 確定申告書に、取得価額の明細書を添付すること(同条第3項)

明細書については、措置法通達 28の2-3が、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に必要な事項を書いて提出し、資産の明細を別に保管していれば、明細書の提出を省略して差し支えない、としています。
ただ、この通達が決算書に書く事項として挙げる(1)は「取得価額30万円未満の減価償却資産について」のままで、改正後の40万円には直っていませんでした(2026年10月5日確認)。

「事務負担に配慮する必要があるもの」は、政令で「常時使用する従業員の数が四百人以下の個人」とされています(租税特別措置法施行令第18条の5第1項)。
一人で仕事をしているフリーランスなら当てはまります。

「30万円まで」は、2026年3月31日までに取得したものの話

この特例は、以前は「30万円未満」で、期限は「令和八年三月三十一日」まででした。
2026年の改正(令和8年法律第12号)で、40万円未満・令和11年3月31日までに変わっています。
改正法の附則はこう書いています。

新租税特別措置法第二十八条の二第一項の規定は、同項に規定する中小事業者が施行日以後に取得又は製作若しくは建設をする同項に規定する少額減価償却資産について適用し、旧租税特別措置法第二十八条の二第一項に規定する中小事業者が施行日前に取得又は製作若しくは建設をした同項に規定する少額減価償却資産については、なお従前の例による。

所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)附則 第35条

施行日は2026年4月1日です。
国税庁のタックスアンサーも、改正後の内容になっています。

(注3)一定の要件を満たす青色申告者が、平成18年4月1日から令和11年3月31日までに取得した取得価額10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までに取得した場合の取得価額は10万円以上30万円未満)の減価償却資産(上記(注2)の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額をその業務の用に供した年分の必要経費に算入できるという特例があります。

国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」

2027年に提出する2026年分の確定申告では、1月〜3月に取得したものは30万円未満、4月以降に取得したものは40万円未満で判定することになります。
検索で出てくる「30万円まで」という説明は、改正前のものか、3月までに取得したものの話です。

ここまでを並べると、次のとおりです。

取得価額(1台・1組ごと)経費にする方法白色・雑所得
10万円未満使い始めた年に全額使える
10万円以上20万円未満3年で均等(一括償却資産)。または下の特例・通常の減価償却使える
10万円以上40万円未満(2026年3月31日までに取得したものは30万円未満)青色申告なら使い始めた年に全額(年の合計300万円まで)使えない
それ以上耐用年数で分けて経費にする(パソコンは4年)同じ
所得税法施行令 第138条・第139条、租税特別措置法 第28条の2 から作成(個人の場合。2026年10月5日確認)

それを超えるパソコンは4年、ソフトは5年に分けて経費にする

40万円以上のパソコン(白色申告や雑所得なら20万円以上)は、耐用年数にわたって少しずつ経費にします。
減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一では、器具及び備品の「電子計算機」のうち「パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)」が4年です。
買い切りのソフトは無形減価償却資産で、別表第三の「ソフトウエア」の「その他のもの」が5年です。
モニターを名指しした年数は、確認した法令と国税庁の資料には見当たりませんでした。

中古のパソコンを買った場合は、法定の4年のほかに、残りの使える年数を見積もって使うこともでき、見積もるのが難しいときは簡便法で計算できます(同省令第3条)。
修理や部品の交換に買値の半分を超える額をかけた場合は、簡便法は使えません(同条第1項ただし書き)。
耐用年数の4年を一部過ぎたものは「4年から過ぎた年数を引き、過ぎた年数の100分の20を足す」計算で、たとえば2年使われたものなら4−2+2×0.2=2.4年、1年未満の端数は切り捨てて2年です。
4年を全部過ぎたものは4年の100分の20で0.8年ですが、計算した年数が2年に満たないときは2年とされています。

取得価額は1個・1組ごとに判定し、消費税を含めるかは経理のやり方で決まる

10万円・20万円の線を判定するときの単位は、所得税基本通達がこう書いています。

49-39 令第138条又は第139条の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定する。

所得税基本通達 49-39

40万円の線についても、措置法通達 28の2-2が同じ基準(器具及び備品は1個、1組又は1そろいごと)を定めています。
パソコンは器具及び備品なので、通常1単位として取引される1個・1組・1そろいごとに判定します。
その年に買った物の合計額で判定するわけではありません。
また、取得価額には、購入の代価に加えて引取運賃や購入手数料など購入のためにかかった費用、使い始めるために直接かかった費用を含めます(所得税法施行令第126条第1項第1号)。

消費税を含めるかどうかは、タックスアンサーにこうあります。

(注5) 取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。
すなわち、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。
なお、免税事業者の経理方式は税込経理になります。

国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」

消費税を納めていない免税事業者は、税込の金額で判定します。
税込で10万円を少し超えるパソコンは、10万円未満には入りません。

Adobe・Figmaなどのサブスク代は、年払いでも1年以内の分なら支払った年の経費

Web制作では、AdobeやFigmaのように、ソフトを買い切らずに月や年の利用料を払うことが多いと思います。
資産を買うわけではないので、減価償却の対象ではなく、その期間の経費と考えられます(サブスクを名指しして説明した国税庁の資料は見当たりませんでした)。

迷うのは年払いです。
たとえば10月に1年分を払った場合、翌年の9月分までが含まれます。
これについては、所得税基本通達がこう書いています。

37-30の2 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。
以下この項において同じ。)の額はその年分の必要経費に算入されないのであるが、その者が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを認める。

所得税基本通達 37-30の2

原則は、翌年分にあたる部分はその年の経費にならない。
ただし、支払った日から1年以内の分で、毎年同じやり方を続けているなら、支払った年に全額を経費にしてよい、ということです。
年によって月割りにしたり全額にしたりを入れ替えない、という条件付きです。

40万円の特例を使ったパソコンは、固定資産税(償却資産)の申告の対象になる

所得税とは別に、事業に使う資産は固定資産税(償却資産)の申告の対象になります。
このとき、10万円未満で使い始めた年に全額を経費にしたものと、3年の一括償却を選んだものは、申告の対象から外れます。
地方税法施行令第49条は、外れる資産を次のように定めています。

法第三百四十一条第四号に規定する政令で定める資産は、法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上、法人税法施行令第百三十三条第一項若しくは第百三十三条の二第一項又は所得税法施行令第百三十八条第一項若しくは第百三十九条第一項の規定によりその取得価額(法人税法施行令第五十四条第一項各号又は所得税法施行令第百二十六条第一項各号若しくは第二項の規定により計算した価額をいう。
以下この条において同じ。)の全部又は一部が損金又は必要な経費に算入される資産とする。

地方税法施行令 第49条

ここに挙がっているのは所得税法施行令の第138条と第139条だけで、租税特別措置法の40万円の特例は入っていません。
東京都主税局の説明も、申告の対象になる資産としてこう書いています。

④租税特別措置法の規定により、中小企業特例を適用して損金算入した資産

東京都主税局「償却資産(固定資産税)」1-7

15万円のパソコンを40万円の特例で全額経費にすると、償却資産の申告には載せることになり、3年の一括償却を選べば載せなくてよい、という違いが出ます。
なお、同じ東京都のページには、特例を使えるのは「令和8年3月31日までに取得した資産」とあり、改正後の措置法(令和11年3月31日まで)とは食い違っていました(2026年10月5日確認)。

募集と自分の案件の記録で、道具の費用はどう扱われていたか

Web制作の仕事でどんな道具が出てくるのかを、取り込んだ募集内容1,447件(発注者の原文の部分だけ。
2026年10月4日時点)で数えました。
WordPressに触れたものが567件、Figmaが197件、Adobeの製品が183件(うちPhotoshop・Illustrator・XDなどのソフトが179件)でした。
これらのソフトやサービスについて、受注者が用意・所有するよう明示的に求めた文は0件で、「◯◯の使用経験をお持ちの方」という書き方がほとんどでした。
ほかに、PCや開発環境の用意を求めたもの(機種の指定なし)が3件、Adobe Stockなど有料の素材の購入をデザイナー側に求めたものが1件、ChatGPTの有料版を利用できることを条件にしたものが1件ありました。
反対に、有料テーマの代金は発注者が持つと明記したものも6件ありました。

受注した案件66件(自社の案件を除く)の記録では、有料のテーマや素材の代金を先方が自分で購入した記録が5件ありました(WordPressの有料テーマ4件、Adobe Stockの素材1件)。
見積書や請求書に道具代を別に載せた記録は0件で、自分が持っている有料テーマのライセンスで対応するので先方の購入は要らない、と伝えた案件もありました。
見積書・請求書と、道具の名前で拾ったやり取りの記録を見た範囲では、道具の代金を報酬とは別にいただいた例はありませんでした。

家でも使うパソコンは、仕事に使う割合で分ける

仕事にも私用にも使うパソコンは、家賃や電気代と同じく、仕事に使った部分を分けて経費にすることになります(所得税法第45条第1項第1号、所得税法施行令第96条、所得税基本通達45-2)。
分け方の考え方は自宅で仕事をするWeb制作者は、家賃や電気代をどこまで経費にできるのかに書きました。

まとめ

  • 10万円未満は、仕事に使い始めた年に全額を経費にできる(所得税法施行令第138条)。白色・雑所得でも使える
  • 10万円以上20万円未満は、3年で均等に経費にできる(同第139条)。白色・雑所得でも使える
  • 青色申告の事業所得なら、40万円未満を全額その年の経費にできる。年300万円まで。2026年3月31日までに取得したものは30万円未満(租税特別措置法第28条の2、令和8年法律第12号附則第35条)
  • それ以上(白色・雑所得なら20万円以上)は耐用年数で。パソコンは4年、買い切りのソフトは5年
  • 判定は1個・1組ごと。消費税を含めるかは経理のやり方で、免税事業者は税込
  • 年払いのサブスクは、1年以内の分なら継続を条件に支払った年に全額(所得税基本通達37-30の2)
  • 40万円の特例を使ったものは、固定資産税(償却資産)の申告の対象になる

年末にパソコンを買うなら、使い始めた日がどちらの年になるかも大事です。
年をまたぐときに売上をどの年に入れるかは、年末に納品して、入金が翌年になった売上は、どちらの年に入れるのかにまとめています。

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この記事を書いた人

宮城県東松島市でひとりでWeb制作をやっています。Web業界10年、会社員時代に50を超えるプロジェクトを担当したのち独立。実際に使った道具と、迷って決めたことを書いています。

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